December 5,2019

INTERVIEW:藤原ヒロシ

90年代に「裏原」と呼ばれたムーブメントを巻き起こし、世界各所名だたるブランドとのコラボレーションを手がける藤原ヒロシ氏とポラロイド。

物心ついた時からカメラが身近にあったという藤原さんに「コラボレーションを引き受けた理由」や「クリエイションの背景」、そして「これからのポラロイド」についてまで時代を見据えたクリエイターならではの視点で語ってもらいました。

ー藤原さんがポラロイドの存在を知られたのはいつ頃ですか?

覚えてないんですけど、うちは親戚がカメラ屋さんで、母親が僕が物心ついた頃から働いていたので、カメラがすごい身近にあったんですよ。ポラロイドもその中にあったと思うんですけど。古き良き70年代のを、90年代くらいにですかね?割とまあ多分イームズだったり、そういうもののブームの一環でだったりするんですけどね。その頃に復活というか、昔のやつを買って使ったりしてましたね。

ーポラロイド全盛期と同じ薬品が使えないので、"当たり前の色"が出づらい面倒なフィルムなんですが、もしこの時代にポラロイドで撮るとするならば、何を撮るのが面白いと思いますか?

やっぱり、一番の魅力はポートレートだと思います。すぐファイル化もできるし。例えば家に遊びに来た人を全員撮るとか、そういうこともできるし。うちの姉とかそれをやったりして。僕も昔は遊びに来る人全員を撮って壁に貼ったりしてたんですよ。そういうこともできますよね。

ー今回のプロジェクトで別注品を作らせて頂くにあたって、SLR680というカメラが集めるのがすごい大変で。まとまった数をこういった形でカスタムできるっていうのが、この機会が最後の可能性もあるなって。

最後。ありがとうございます。(笑)
あの、この前の、もう一個なんでしたっけ?SACAIがやっていたやつ。

ーSX70ですか?

あの時撮影したけど、あのカメラって結構扱いが難しいじゃないですか?ピントとか。

ー専用フィルムは感度も低いですし・・

そう、感度もあれですし、ピントもマニュアルしかないから。だからそういう意味ではSLR680は進化しましたよね、そこは。うん。

ーSLR680を選ばれた理由は

そのオートフォーカスがあって

ー撮影がしやすいという点ですか?

そうですね。なんか今はフィルムも高いしもったいないじゃないですか?失敗すると。

ー今回のカメラのデザインについてもお伺いしていいですか?

まぁ基本的にはシンプルなものが好きなんで、シンプルにしたかったのと、ちょっとラグジュアリーっぽい感じに落とし込みたかったですね。

ー実際サンプルの実機を見ていただいて希望に添える形になったかなと思います。

はい、嬉しいです。自分で使いたいし、このデザインができたら最高です。

ー過去のコラボレーションでも【黒】が基調になったデザインが多いと思うんですけど、黒に対してこだわりとは?

間違いないって言うのもあるし、今回に関してもボディが黒なんで、なかなか他の色でやるっていうのも・・結構派手になったりとか、その時かわいいなって思ってもずっと使っていると、「やっぱり黒にしておけば良かったなぁ」って思うことが結構多いので(笑)で、さっきおっしゃっていたように、「これが最後」になるかもしれないんだったら・・ずっと使いたいんで。黒にしておいたほうが良いかなって。

ー今回Polaroid Originalsになってから初めてのアパレルアイテム展開だったのですが、トラックスーツがデザインの中に入っていたのは、当時藤原さんが着用されていたことがきっかけですか?

そうなんです。前・・でもあれいつ位でしたっけ?2000年位じゃないですか?90年代?

ーそうですね、ポラロイドの最後の方ですね。

そうですよね。それを買って着てたんで、それを思い出して。なんか不思議だったんですよね。ポラロイドがこんなトラックスーツみたいなのを出すんだ、って。あれなんで出したんですか?

ー確かに着られている方も多くて。そういうアイテムのラインナップの中には入ってましたね。実際のポラロイド工場の人達が着てたりもしました。

ふぅーん。

ーもしあればで構わないんですが、改めてポラロイドの魅力とは何でしょうか?

いやでもやっぱりあの形もいいし、なんて言うんだろ・・、そのアナログ感。今のデジタル時代にもなく、今にも通用できるアナログ感っていうか。それがいいですよね。撮ってあれでもう完結してる感じがいいですよね。結構魅力はいっぱいあると思いますよ、ポラロイドは。うん、ファンも多いし。

ーポラロイドのロゴをあそこまで変化させたコラボレーションは長いポラロイドの歴史の中では初めてのことだと思うので。

そうなんだ、よくできましたね。(笑)

ーやはりフィルムについては白いフレームが好きですか?

フレームですか?そうですね。すぐ文字が書けるし。下に書けるっていうのは重要かなと。

ー昔のお話も伺いたいのですが、どんなシチュエーションでポラロイドカメラが出てくることが多かったですか?

基本的にはほんと家に置いてて遊びに来た人を撮るっていうのが多かったんですけど、色んな種類、、なんかあのすごいアップを撮るやつを一個持っていて。口の中とか。目とか。

ーなんだろう?眼球検査のおっきいやつですか?

はい。なんかこんなおっきい白い箱みたいな。それを買って持ってて。家に遊びに来る人の目をいっぱい撮ったりしてましたね。あれなんだったっけな?昔の映画で出てきて・・

ーマクロ5 SLR カメラだったかな?

あのー、何かの映画で法医学者が撮って、使ってたんですよ。法医学だと思うんですけどFBIとか、その、死体を撮るのにクローズアップで撮ったりするのに使っていて、「あれ何だろう?」って思って探して買ったんです。マニアックなカメラを。あれもポラロイド社だったような気がします。

ーそうですね、5~6年前まではたまーに。売ってました。

へぇー。あったんですか。

ーすぐ仕入れられる時もあれば、1ヶ月位かかる時もあって。今は使えるフィルムをどこも製造していないと思います。

ふぅーん。

ー今の若い子たちはこういうアナログインスタントフィルムを見ると、ポラよりもチェキが先に思い浮かぶそうなんですが。世代によってポラロイド自体の認識に違いがあったりしまして。

なるほど。

ーどうして今回ポラロイドと一緒にやろうと思っていただけたんですか?

いやもう、誘われたんで2つ返事で。というか(笑)
チェキは断ります。いや、あんまり使ったこともないし。やっぱりオリジナルというか。本物感が違いますよね。ポラロイドのようなフィルムってポラロイドが最初なんですか?

ーインスタントカメラはポラロイド社の創設者、エドウィン・ランド博士が開発したカメラで、そこから様々なカメラメーカーのアイデアの素にもなってて。

あの(アンディ)ウォーホールが使っていたカメラもポラロイド?

ーポラロイド社です。

はいはい。・・そっか、でもなんかフィルムは剥がすやつじゃなかったでしたっけ?

ーピールアパート式といって、解像度の高いフィルムだったんですが、ポラロイドはそのフィルムを製造する機械自体がもう無くなってしまったので。メーカーとしても、ピールアパートタイプはすごく作りたいんですが、機械から作るのがとんでもない金額なので。

うーん。ゴミも増えるしなー。

ー今はフィルムを生産する工場が一つしかないんです。当時は3つありましたからね。

でも、また売れてきたりはしてるんでしょう?フィルム。

ー元々使われていた人が使っていたり、デジタルに悩まれてるカメラマンの人が「ポラロイドだ」ってなって、使いはじめたり。ミュージシャンの方とかも使っています。

なんかね、ポラロイド力というか。Leicaで撮ったらLeica。みたいなのあるじゃないですか?あれと同じでポラロイドで撮ったらポラロイド。っていうのがあるから。しかもポラロイドの場合「四角い形」で出てくるんで。どんなに誰がどういう風に撮ってもArtyになれるっていうか。押し切れますよね、作品として。

ーそうですね。結構若者のフィルム回帰も増えてるみたいですし。

はいはい。

ー藤原さんにとって、デジタルとアナログって生活においてどのようなバランスですか?アナログ重視とかありますか?

いや僕は基本的には便利なものがいいので、デジタル重視が多いですけど。だからアナログも普通のカメラは使っていなくて。やっぱりあの普通のカメラだと現像したりいろいろ大変じゃないですか。そういうのがあるからなんですけど、ポラロイドの場合は、それ一個でさっきも言ったけど完結できるんで、全然違うと思いますよ。アナログ時代の最先端デジタルな感じしますもんね。うん。なんか、カメラとはちょっと違うかもしれないですけどね。

そういえば今回のカメラ保証はあるんですか?

アナログ時代の最先端デジタルな感じしますもんね。うん。なんか、カメラとはちょっと違うかもしれないですけどね。そういえば今回のカメラ保証はあるんですか?

ービンテージは半年保証つけてます。

半年保証。なるほど。

ー藤原さんがポラロイドに期待することってありますか?

いや、ポラロイドに期待することねー。

ー元々は工場が3つあったのが、2つアメリカにあったのが無くなって、オランダの工場を取り壊すギリギリの朝に権利をもらえて今があるような。いつもギリギリの状態にあると思ってまして(笑)

でもその、ギリギリで続けていくのがいいもんね。

ー(笑)

大きくなってしまうと、またそれはそれでっていうのがあるから。このサイズ感で、この規模感で延々続いたら美しいですよね。大体それでリバイバルというか、大きくなって失敗するパターンが多いと思うので。

ーたしかに。じゃあいいバランスで。

いいバランスで。

ー一生愛される製品でいられるよう頑張ります。どうもありがとうございました。

ポラロイドカメラを構える藤原ヒロシ

-藤原ヒロシ (@fujiwarahiroshi)
FRAGMENT DESIGN 主宰、音楽プロデューサー

クラブDJや、小泉今日子やUAなどの音楽プロデューサーとしての活動を経て、ストリートブランドから、ハイブランドやNikeなどの大企業まで、多岐にわたるクリエィティブディレクションを手がけるクリエイター。並行してミュージシャンとしても活動している。