December 3,2019

廃材で創るポラロイドコスモ

幼少から描き続けた脳内を巡る宇宙が、7年かけて小さな宇宙空間に。モデルNOMAの作品が代官山TENOHAに展示されるまでの軌跡を辿る。

突然ポラロイドカメラとフィルムを託されたのは7年前。友人のイベントに出向いた夜、ポラロイドをこよなく愛す、その日出会ったばかりの彼女から突然カメラとフィルムを渡された。みんなホロ酔いの夜だった。モデルの仕事の中で、本番前のテスト撮影がポラロイドだった事は沢山あったけど、自分が撮る側になったのは初めて。

一夜明けて、目が覚めるとポラロイドカメラが家にあり、昨夜のことが夢ではないことに気づく。早速近所の景色を撮り始めたけれど、半分は真っ白だったり、ぼやけていたり、半分透明人間になってたり、思うように映らない…。ポラロイドのフィルムを復刻させるべく立ち上がったImpossible Project(現Polaroid Originals)が生み出したフィルムは、初心者の私にとってかなり手強く、シャッターを押した後「ウィン、ガシャーン」の音とともにカメラから排出されるフィルム達を見て、けっこう罪悪感を感じたのが忘れられない。ちゃんと映ってないけど、そのポラを持つ手が感じる顕在感。一枚のキャンパスの様にも見えて、捨てれなかった初めてのポラロイド写真。

四季折々現れる生命や織りなされる景色、情緒溢れる町並み、大好きなヒトたち、地球はポラロイドカメラで写したくなる瞬間に溢れている。でも、同時に、水の中、大気圏の上、ミクロな宇宙、マクロな宇宙、記憶の向こう、妄想、心の中、ポラロイドカメラでは写しにくい瞬間もたくさんある。そんな瞬間を、不遇にもキャンパス状態で出てきたフィルム達に描き込んでゆこう。子供の頃から宇宙が大好きで、「いのち」はどこから来てどこへ向うのか、遠くの銀河にはどんな仲間がいるのか、「今」はほんとうに在るのか、などなど…妄想が尽きない私にはぴったりの時間になるに違いない。こうして写らなかったポラロイド写真の中に、描いてゆく私の趣味が始まったのが7年前でした。

その後、とある企画で日常を切り撮ったポラロイド写真をお披露目する事に。悪戯心でポラロイドフィルムの廃材をアップサイクルしたシリーズを一緒に提出したところ、何となく描いていたものが「ドローイングシリーズ」と名付けられ、日常のポラと私の脳内を描いたポラが同時に紹介されました。世間からのまさかの反応に驚いたと同時に、ほんとうに嬉しかったのを今も覚えています。これが、ラクガキからドローイングを重ねて行く時間へと心持ちが変わったきっかけでした。

間もなくして顔料も廃材を取り入れるようになり、最初は過去のプロジェクトで余ったインクを使っていたけれど、そのうちに数年前から持て余していたコスメを使用するようになって、更に廃棄扱いとなったプロダクトを集めて顔料にしたりして、自分の趣味を通して生まれたこの小さな循環が、気づけば新たな喜びとなっていました。ポラロイドフィルムの廃材を使った作品創りの時間。それは、地球上に在る様々な廃材が、時に資源とも捉えられる事に改めて気づかせてくれたのです。

INFINITY SPIRAL

また少し時が経ち、「Luxury of Less」 チームに声をかけて頂き、7年間創り続けて来たこのポラロイド作品達を、国内外のアーティストと並んでお披露目する事になった2019年の終わり。

私の脳内で時折浮かぶ言葉を展示タイトルにした「INFINITY SPIRAL」では、時空を無視して個人的にツボった宇宙(地球も含めて)の点を集めて小宇宙を創りました。宇宙の始まり、波、エウロパやエンゲラトス、ダークマター、量子もつれ、地球での思い出などなど…この7年の間で惹かれたカケラたちを、空間の中でカテゴライズし漂わせる。

INFINITY SPIRAL

広がり続ける宇宙から腸内細菌まで、果てないマトリョーシカのような世界で繰り返される終わりなき循環。その中で今日も私たちはただ流転しているだけかもしれない。けれども、少しでも心奪われた一瞬をこれからも大切に留めていきたい。

NOMA

「佐賀県出身のモデル。幼少期より植物と宇宙に惹かれ、ファッションからカルチャー、サイエンスまで幅広く様々な表現方法で活躍する。7年前より廃材を顔料やキャンパスに生み変え、資源の捉え方に疑問提起したドローイングは、キーヴィジュアルやプロダクトのアートワーク等にも使用される。ライフワークは自然科学を楽しむ旅、作品創り、調香。」

@noma77777(instagram.com/noma77777

Gradation 代官山
展示スペース「Luxury of Less」

アート・音楽・デザイン・ファッションなど、様々な世代を超えた作品が集結したアートフェアイベント。 廃墟となった商業施設を会場として利用し、通常の作品展示とは異なる作品の見せ方となっており、今までの作品をご存知の方にも、そうでない方でも楽しめる空間・展示となっている。 会場は、アンディ・ウォーホル、ダミアン・ハースト、森山大道、MEGURU YAMAGUCHI 、YOSHIROTTENなどの数多くのアーティストの作品が一同に展示され、代官山で親しまれているアマランスラウンジ、doodle、Debrisなどによるフードブースやイベントなどの企画にも参加できる。

展示スペース「Luxury of Less」では、アーティストバックアッププラットフォームで会場内約600 m2の空間をギャラリースペースとして用い、10組のアーティストが作品を展示中。

@luxury_of_less(instagram.com/luxury_of_less/

ガウン¥63000 / ハット¥39000 (FLAPPER)
デニムパンツ¥63000 (Rejina Pyo)
以上全て (SHOWROOM UNO/showroom-uno.com)

ミュール参考商品
(Sellenatela/HALL by Sellenatela 03-6419-7732)

Styling by @fumieno0722